こんにちは。ブロガーNです。
気持ちがモヤモヤした時、短時間で気分を変えたいと思いませんか?そんな時にこのブログを読めば、宇宙のイメージと知らなかった知識が気分転換のきっかけになります。
今回は、ホーガンの代表作「星を継ぐもの」から、月面のクレーターの話です。
月面のクレーター
この小説には、プトレマイオスとコペルニクスと言う代表的な2つの月のクレーターが登場します。プトレマイオスもコペルニクスも、月のこちら側(表)にあるので、地球からよく見えます。
原子物理学者のハントは、木星の衛星ガニメデに行く途中、月のプトレマイオスクレーターの基地に降り立ちます。そこから、5万年前の宇宙服を着た死体が発見されたコペルニクスクレーターの基地に移動します。
5万年前の宇宙服を着た人間は、月の裏側から出発し、ジュラ山脈、虹の入江、雨の海を経てコペルニクスに到達していたのです。
コペルニクスクレーターは、地球から見て月の左上(中心から北西側)に位置し、直径は約93キロメートルです。名前は16世紀の天文学者ニコラウス・コペルニクスに因んでいます。コペルニクスは、地動説を提唱したことで有名ですね。
ヘリウム3
この小説は、2028年頃の出来事として描かれていて、月の地下資源を求めて鉱山開発や試掘が行われています。現実に、月には鉱物資源も存在すると考えられており、その中にはヘリウム3と言う物質が含まれています。
ヘリウム3については聞き慣れない方も多いと思いますが、将来の核融合エネルギーの開発において重要な燃料となる可能性があると言われています。月の地下にこの資源が存在することが、将来の宇宙開発の基盤となるかもしれないのです。
ヘリウム3は、太陽で起きている核融合反応による副産物であり、月の表面に散らばっています。月には大気がないため、月ができてから45億年の間にヘリウム3は月の表面の砂に吸着され続けてきたと考えられています。
ヘリウム3は、月の砂を600度以上に加熱することで得られます。しかし、月の砂に均等にごくわずかずつ含まれているだけなので、膨大な砂を処理する必要があります。たとえば、ヘリウム3を10トン取り出そうとすると、月の砂は100万トンも必要になります。
このような課題はあるものの、ヘリウム3を用いた核融合は、陽子の運動としてエネルギーを取り出せるため効率がよく、放射性廃棄物や二次的に出る放射線の量も少ないことから、「理想の核融合燃料」とも呼ばれています。
巨大な宇宙船
主人公ハントが参加する第5次木星有人探査の宇宙船は、月の軌道上で1年以上かけて建造されました。この宇宙船は、食料や機材など3万トンを搭載できるほどの大きさがあります。月の軌道上で作るからこそ、このような大型の宇宙船を建造しても火星や木星に向けて少ない燃料で出発できます。
この小説が出版されたのは1980年ですが、その4年後の1984年には国際宇宙ステーション(ISS)の建設計画がNASAから発表されました。ISSは、1998年に地球の軌道上で建設が開始され、2011年に完成しました。
そしてアルテミス計画では、Gatewayと呼ばれる月の軌道上の宇宙ステーションが建設される予定です。これは「月から火星へ」計画の足がかりとして考えられており、宇宙ステーションを拠点に、月から火星にロケットを飛ばすことも検討されています。
このGatewayが完成するのは2028年の予定ですが、この年は「星を継ぐもの」で描かれた時代とちょうど重なります。いよいよSFが現実になる時が来るような気がして、本当にわくわくします。
おわりに
昔も今も、研究者の月への興味は尽きる事がありません。これからも、人類が到達可能な天体として、さまざまな研究や開発が進むのだと思います。そして、将来は月の資源を使って宇宙船が建造され、人類は遠い星々へ向かう事になるのでしょう。
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