こんにちは、ブロガーNです。
今回は、SF小説『ミッキー7』から、銀河の渦状腕の話です。
物語では、人類が地球に留まっていた時代に発見された反物質を、ある時大量に合成・保存する方法が見つかると、恒星間旅行が実現します。
さらに、反物質による破滅的な兵器によって、人類の半数が死滅する戦争が起きてしまいます。その結果、人類は地球を捨てて、他の惑星への移住を始めます。そして1000年後には、人類は銀河系の渦状腕づたいに多くの惑星に広がって行きました。

渦状腕とは
いったい銀河の渦状腕とはいったい何なのでしょう。
渦状腕(うずじょうわん)とは、天の川銀河のような渦巻銀河の銀河円盤上に存在する、渦巻き状に伸びる明るい恒星の集まりで、星形成が活発な若い星やガス、暗黒星雲などが含まれています。
銀河系の中心には巨大なブラックホールが存在すると考えられています。この強大なブラックホールが星を吸い込む力によって、渦巻きの形になったのでしょうか?
実際には、ブラックホールの質量は、銀河全体の1/1000以下であり、ブラックホールの重力は中心付近では支配的ですが、銀河の外縁や腕の広がりを決めるほどではありません。
つまり「ブラックホールに物質が吸い込まれて渦を作る」わけではなく、渦状腕の形成は円盤全体の重力場の集団的な効果と考えられています。
銀河の渦状腕は主に密度波理論によって形成されると考えられています。この理論では、銀河円盤内に発生した「密度の高いさざ波」のような波が物質を円盤に沿って集め、螺旋状の腕構造を作り出すと説明されます。個々の星は腕を通り抜けて移動しますが、腕自体は密度が高い領域として一定の位置に留まり続けるのです。
太陽系の位置
では、我々の太陽系はどんな渦状腕に属していて、どの辺りにあるのでしょうか?
太陽系は 、オリオン腕(Orion Arm)またはオリオン–スパー(Orion Spur) と呼ばれる領域にあります。この名前は、夜空に見えるオリオン座の方向に伸びていることに由来しています。オリオン腕は、星雲や星団が豊富な場所であり、太陽系はオリオン腕のちょうど中ほどにあります。星形成領域が多く、夜空を彩る明るい星雲や星団の多くがこの腕に属しています。(下図の下の方にSunと書かれているのが太陽の位置です。)

オリオン腕の大きさは研究によって数値は多少異なりますが、一般的には以下のように考えられています。
長さ:数千光年〜1万6千光年程度 (主要な腕に比べると短い枝状の構造)
幅:数千光年程度(だいたい 3,000~3,500 光年とされることが多い)
厚み(垂直方向の厚さ):数百光年(銀河円盤そのものの厚さに近い)
身近な天体の場所
オリオン腕には、私たちに身近な天体がたくさんあります。
・オリオン座のベテルギウスやリゲル
・オリオン座大星雲(M42)
・おうし座のアルデバランやプレアデス星団(すばる)
・わし座のアルタイル
・こと座のベガ
・おおいぬ座のシリウス
また、オリオン腕以外の場所には、以下のような天体があります。
・こぐま座の北極星(ペルセウス腕寄り)
・はくちょう座のデネブ(ペルセウス腕)
・さそり座のアンタレス(ケンタウルス腕寄り)
おわりに
1000年後に、人類がオリオン腕の様々な天体へ広がっていく未来が来るかもしれないと考えると、なんだかワクワクしますね。
実際に現在でも反物質の存在は確認されていて、将来、それを自由に扱える技術が開発されれば、恒星間旅行も夢ではないと思います。
参考リンク
天の川銀河中心のブラックホールの撮影に初めて成功(リンク)
太陽系含む銀河系の「腕」、4倍も大きかった(リンク)
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