ミッキー7-反物質駆動エンジン

こんばんわ、ブロガーNです。

今回は、SF作品『ミッキー7』に登場する 反物質エンジンについて、現実の科学とあわせてわかりやすく紹介します。

■ 反物質で動く宇宙船「ドラッカー号」
主人公ミッキーが乗っている宇宙船「ドラッカー号」には、反物質で動くエンジンが積まれています。
反物質と“普通の物質”が反応すると、ものすごいエネルギーが生まれます。その力を推進力に変えて、宇宙船を光速の90%まで加速し、人類は銀河系へ進出していった――という設定です。

Image Credit: NASA, ESA and P. Goudfrooij (Space Telescope Science Institute); Processing: Gladys Kober (NASA/Catholic University of America)

■ 反物質は現実にも存在する(ただし超少量)
反物質はSFだけの存在ではありません。
実際に、LHC(大型ハドロン衝突型加速器)という巨大な装置を使えば 反電子(陽電子)や反陽子を作ることができます。
ただし今の技術では、実験で作れる量は数個〜数百個の粒子、しかも数十秒〜数分だけ閉じ込められる程度と、ほんのわずかです。
さらに、もし 1グラムの反物質を作るとしたら、数百兆円かかるとも言われています。
とてつもなく高価な物質なのです。

■ なぜ反物質はすごいのか?
反物質は、普通の物質と電荷が逆になっている粒子でできています。

電子(ー) → 反電子(+)

陽子 (+)→ 反陽子(ー)

そして、反物質が普通の物質に触れると起きるのが 対消滅(ついしょうめつ)
これは、粒子同士がぶつかって 質量のすべてがエネルギーに変わる現象です。
有名なアインシュタインの式
E = mc²
がそのまま働く世界で、ほんの少量でも莫大なエネルギーが出ます。
理論上、反物質は 最もエネルギー密度の高い燃料のひとつなのです。

■ でも、反物質は「入れ物」に入れられない
ここで問題があります。
反物質は普通の物質に触れると消えてしまうため、金属製の容器には入れられません。
ではどうするか?
現実の研究では、反物質の粒子を 真空中に浮かせて閉じ込める装置(量子トラップ)使われます。その代表が ペニングトラップです。これは、

強い磁場 → 横方向を閉じ込める   電場 → 縦方向を閉じ込める

という仕組みで、反物質を“触れさせないように”宙に浮かせて保存します。

■ 物語に登場する「磁気単極子バブル」
『ミッキー7』の世界では、さらに進んだ技術として 「磁気単極子バブル」 が発明されます。
これは、反物質を小さなパッケージに安全に封じ込められる夢のような装置。
これによって、反物質ロケットや反物質爆弾といった強力な技術が実用化されていきます。
しかし、その結果人類は反物質爆弾をめぐる戦争を起こし、地球に住めなくなってしまいます。
新たな居住地を求め、銀河へ旅立つ――という流れが物語の背景となっています。

■ おわりに:反物質は「究極の燃料」になりうるのか?
反物質は理論的に見れば、これ以上ないほど高性能な燃料です。
もし安全で安価に大量生産し、長期間保存できるようになったら──
宇宙探査、エネルギー産業、さらには軍事分野まで、社会のあらゆる仕組みが変わる可能性があります。
また、宇宙探査用としては、
深宇宙の「超高真空・極低温」環境をそのまま保存庫として利用する
というアイデアも考えられます。
「未来のエネルギー源」として、SFでも現実の研究でも、これからますます注目されていく分野です。

参考リンク

量子トラップ-電子の捕獲方法(リンク)

LHC(大型ハドロン衝突装置)(リンク)

私たちが存在するのはニュートリノのおかげ?(リンク)

購入リンク


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