星を継ぐものの楽しみ方1

こんばんは。ブロガーNです。
気持ちがモヤモヤした時、短時間で気分を変えたいと思いませんか?
そんな時にこのブログを読めば、宇宙のイメージと知らなかった知識が気分転換のきっかけになります。

今回は、ホーガンの代表作「星を継ぐもの」から、5万年前の話です。この小説は、月で見つかった宇宙服を着た死体の謎を調べる所から始まります。

その死体は現在の人類とほぼ同じ生物学的特徴を持っていましたが、5万年前のものだったのです。彼はどこから何のために月に来たのか、次々に新たな謎が現れて、ストーリーが進みます。

月のうさぎ

5万年前の人類

実は5万年前は、人類にとって非常に重要な時期でした。

5万年前の地球は、旧石器時代中期の終盤であり、氷床が北半球を覆い、気温が低下していました。この頃、人類は道具の進化や社会的協力が進み、狩猟・採集から農耕への転換を始めます。そして、ホモサピエンスの初期の集団がアフリカから出発し、他の大陸に広がり始めました。

まだ異なる地域での定住や文化の発展が進行中で、その後の数千年にわたってホモサピエンスが地球上に広がっていくプロセスが続きます。その過程で、ネアンデルタール人など他の人類との競争に打ち勝って現在に至るのですが、その主な要因として、他の人間から知識やスキルを獲得する能力があったと言われています。

脳の大きさではネアンデルタールに劣るホモサピエンスが生き残ったのは、大きな集団の中で知識や経験を共有する事によって、さまざまな課題を克服し、さらに高い能力を獲得したからだろうと思います。個人技が優れていても、チームワークでスポーツに勝てるのと同じかも知れません。

人類の言語能力の発達

この小説はタイムトラベルものではありませんが、もし、5万年前の人類に現代の教育をすれば、月に行けるくらいの文明を築けるでしょうか。ちょうど5万年前ごろ、ヒトの脳内に大きな変異が起ったと言われています。そしてこの段階で人類が獲得した言語能力が、我々の文化発展の起爆剤となりました。

脳の外側前頭前野には「記憶にあるもの」と「単語」や「文法」を統合し、まったく新しいものを想像することを可能にする機能があるそうです。我々の祖先であるホモサピエンスが、この機能を5歳くらいまでかけて発達させるようになった事から、複雑な言語を理解できる能力を持つ事が出来たと言われています。

5万年と言う長さは、ひと世代50年としても1000世代先になります。もしこの先5万年の間、人類が地球上で生き延びた場合は、きっと能力も容姿も今から想像できないくらい違ってしまうでしょう。

500光年のベテルギウス(オリオン座の左上の赤みがかった星)

5万光年先の星々

ここで5万年がどれくらい長い期間であるかを感じるために、宇宙の5万光年を考えてみたいと思います。

まず、我々が属する天の川銀河の半径は約5万光年です。
1光年は約9兆5000億kmであり、地球と太陽の距離(1億5000万km)の約6万倍です。
つまり5万光年は約10兆kmの5万倍、つまり地球と太陽の距離の約30億倍となります。
天の川銀河の中心付近の光は、この距離を5万年をかけて銀河の端に届くのです。

また、オリオン座の1等星ベテルギウス(オリオン座の左上の赤みがかった星)までの距離が約500光年なので、5万光年はその100倍の距離です。そのオリオン座の三つ星の下の方に見える有名なオリオン大星雲までは約1,500光年であり、5万光年はさらにその33倍の距離です。宇宙全体の広さに比べると5万光年はそれほどの距離ではありませんが、数字が大きすぎてなかなかイメージするのが難しいですね。

おわりに

5万年前の日本列島は、氷河期が終わりに近づき、大陸から切り離されたり、再度陸地がつながったりしていました。ホモサピエンスが日本へやってきたのは、約38000年前と言われています。その頃の日本列島は大陸から切り離されていたので、日本人の祖先は海を渡って来たと言う説が有力です。

参考リンク

なぜ言語の発生を5万年前と考えるか

海に挑戦した最初の日本人

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