地球幼年期の終わりの楽しみ方4

こんにちは。ブロガーNです。
気持ちがモヤモヤした時、短時間で気分を変えたいと思いませんか?
そんな時にこのブログを読めば、宇宙のイメージと知らなかった知識が気分転換のきっかけになります。
そして、SF小説を読んだ後にもう一度ここに来れば、さらに幸せな気分になれますよ。

今回は、アーサーCクラークの名作「地球幼年期の終わり」から、物質の消滅の話です。

The glittering, glitzy contents of the globular cluster NGC 6652 sparkle in this star-studded image from the NASA/ESA Hubble Space Telescope.

物質の消滅

地球幼年期の終わりでは、人類が宇宙に本格的に進出する寸前に、人類よりはるかに進んだ異星人が現れます。しかし、この異星人は地球を侵略に来たのではありませんでした。むしろその力で人類同士の争いを止めさせて、地球には平和な時代が訪れます。

そして最後は人類が次の進化の段階を迎え、宇宙の超生命体の一部として旅立ちます。その時、なんと地球自体も物理的に消滅すると言う衝撃的な結末が待っているのです。

そこで「物質の消滅」とはどんな事なのかを考えてみたいと思います。

地球を構成する主要な元素は鉄、酸素、ケイ素、マグネシウム、硫黄、ニッケル、カルシウムなどです。これらの元素が岩石や鉱物、大気、水などを形成しています。地球全体の化学組成は多様で、地球の内部と表面には異なる元素が存在します。このような元素は原子の種類によって異なる性質を持ち、元素記号(HやCやOなど)で表されます。そして原子は、正の電荷を持つ原子核と、負の電荷を持つ電子でできています。さらに、原子核は正の電荷を持つ陽子と、電荷を持たない中性子でできています。

物質をエネルギーに変える

また、物質からは大きなエネルギーを取り出す事ができます。
学校の物理で習うe=mc2と言う式を覚えていますか?これはe(エネルギー)とm(質量)を変換する式ですね。この式は、アインシュタインが特殊相対性理論から導いた式なのですが、ほんのわずかな物質にも膨大なエネルギーが秘められていることを意味します。

小説の中で、超知性体となった人類は、地球の全ての物質をエネルギーに変えて宇宙へ持って行きます。もし地球の物質全部をエネルギーに変えるとすれば一体どれくらいになるでしょうか?この場合、先ほどの式e=mc2のmが地球全体の質量になります。地球の重さは計算上6×1024 kgくらいで、光の速さは 3×108m/sなので、地球の物質全てをエネルギーに変えるとe=(6×1024)x(3×108)2となります。大まかに1040(単位は難しすぎてとても説明できませんが)であり、とにかく、とんでもなく大きなエネルギーが発生しそうです。

そして、宇宙では元素は新しく生成されるだけでなく、一部は消えてしまうこともあります。宇宙には、インターステラーウィンド※のような高速の粒子や宇宙線が存在し、これらの粒子が星間物質と相互作用することによって元素が生成または変換され、一部の元素は宇宙空間で消失してしまいます。

(※用語)インターステラーウィンド(Interstellar Wind)とは、太陽系の外側、つまり太陽圏の境界領域であるヘリオポーズと呼ばれる領域から吹いてくる、宇宙空間に存在するプラズマとガスの流れを指します。ボイジャー1号2号がヘリオポーズを通過した事でニュースになりました。

Voyager_1_entering_heliosheath_region.jpg: created by NASA derivative work (Wikipedia)

反物質による対消滅

また、物理学では、反物質の存在が証明されています。これは質量とスピン、構成する素粒子の電荷などが物質とまったく同じで、電荷などが逆の性質を持つ反粒子によって構成される物質です。たとえば、電子はマイナスの電荷を持つのに対し、反電子(陽電子)はプラスの電荷を持ちます。そして、反物質は、通常の物質に触れると対消滅して消えてしまいます。

もし地球規模の反物質がぶつかると地球は消滅しますが、その場合は大爆発を起こします。この小説では、最後に地球の物質は透明になって消えてしまいますので、超知性となった人類は、爆発を起こさない方法で元素をバラバラにして、エネルギーに変えて宇宙に持って行ったと考えられます。

おわりに

いずれは地球自体も、そして、その一部である人類も、宇宙全体の元素の生成と消滅のサイクルの中で変化していく運命にあります。将来、元素の組成のレベルで人類の変化を加速する方法を見つける事ができれば、「地球幼年期の終わり」のように、物質としての人類から超知性と呼ばれる存在へと進化していくのかも知れません。

参考リンク

星間物質は摂氏3万度 ボイジャーが太陽圏越え観測

太陽圏

反物質

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