タイタンの妖女の楽しみ方1

こんにちは。ブロガーNです。
気持ちがモヤモヤした時、短時間で気分を変えたいと思いませんか?
そんな時にこのブログを読めば、宇宙のイメージと知らなかった知識が気分転換のきっかけになります。

今回は、カート・ヴォネガット・ジュニアの「タイタンの妖女」から、タイタンの話です。

This near-infrared, color mosaic from NASA’s Cassini spacecraft shows the Sun glinting off of Titan’s north polar seas.
NASA/JPL-Caltech/University of Arizona/University of Idaho

この小説のタイトルの「タイタン」は土星の第6惑星です。太陽系の中の衛星としては、木星の衛星ガニメデに次いで2番目に大きな衛星で、地球の月の1.5倍もあります。

写真でもわかる通り、タイタンは衛星なのに厚い大気があり、地球と同じように山や川、湖もあります。雲もあり、雨も降るのですが、それは水ではなくメタンの液体が循環しています。

この小説の主人公マラカイ・コンスタントは、ストーリーの最後にタイタンへたどり着きます。
そこに約20万年前に宇宙船の故障で不時着したロボットがいました。このロボットは小マゼラン星雲からある使命を持って目的地へ行く途中でした。

小説の中では、タイタンには3つの海と3つの大河があり、森林も草地も山脈もあると言う設定ですが、今では、実際にタイタンに海や山があることがわかっています。森林や草地や生物がいるかどうかは未知ですが。

この小説が発表された1959年から約40年後の1997年にNASAは土星探査機カッシーニを打ち上げました。カッシーニは、2005年にはタイタンに到着し、着陸船ホイヘンスを切り離してタイタンの地上へ着陸させました。ホイヘンスは、バッテリーが持続する約90分間、濃い大気に覆われた地表の様子を地球へ送信しました。

huygens-probe-saturn-moon-titan_16582_big.jpg
土星の衛星タイタンに着陸した欧州宇宙機関(ESA)の小型探査機ホイヘンスを描いた想像図。全長2.7メートルの機体に着陸用パラシュートがつながっている。

地球とタイタンの距離はそれぞれの位置によって変動しますが、最も遠い場合は約16億kmもあるので、カッシーニは土星付近まで約7年、タイタンには約8年かかりました。

この小説に登場するロボットは、タイタンから地球までわずか数時間で移動できる宇宙船に乗っています。光の速さが時速約10億kmなので、この宇宙船は光速の半分くらいの速さで移動している事になります。つまり時速5億kmの速さで進む宇宙船ですね。

現在の探査機は、他の惑星の重力を利用して速度を増す重力アシスト(スイングバイ)を使用しています。例えば、土星探査機カッシーニは、地球と金星のスイングバイを利用して土星に到達しましたが、その速度は時速約7万kmでした。地球一周の距離が約4万kmなので、1時間で地球2周に近い距離を進んだ事になります。それでも土星まで7年もかかりました。

もっと劇的に速いスピードの宇宙船を実現する方法はないのでしょうか?

例えば、ロケットエンジンの推進力を高めるために、イオンエンジンや熱核エンジンなどが研究されています。しかし、この小説に登場する宇宙船のように時速5億kmを出せる技術は遠い未来の事になりそうです。

おわりに

NASAは、土星衛星タイタンの離着陸探査機ドラゴンフライを開発中です。
ドラゴンフライはドローンのように回転翼をもつ着陸機ですが、タイタンの大気は地球の4倍も濃度があるので、機体を飛行させるために必要な十分な揚力を容易に生み出せると考えられています。

果たしてドラゴンフライは、タイタンのあちこちを探索して生命の痕跡を見つけることができるのでしょうか。

参考リンク

土星衛星タイタン離着陸探査 Dragonfly

土星の衛星タイタンの探査に向け、そっくりの大気を“再現”した実験から見えてきたこと

購入リンク


コメント

タイトルとURLをコピーしました