こんばんは。ブロガーNです。
今回は、SF作品『ミッキー7』から 反物質駆動エンジンの話です。
「反物質」って、どんなものか考えたことがありますか?
実はこの反物質を使う宇宙船を実用化できれば、火星への旅はもちろん、遠い恒星を目指す未来の宇宙船にも使われる可能性があるのです。
では、早速「反物質とは何か」そして「なぜ未来の宇宙旅行を変えるかもしれないのか」を見ていきましょう。

■ 反物質で宇宙船を加速するエンジン
地球から最も近い恒星系であるプロキシマ・ケンタウリまでの距離は約4.2光年。
現在の探査機の速度では、到達まで数万年という気が遠くなる時間が必要です。
もし人類が銀河系へ本格的に進出するなら、現在とは桁違いの推進技術が必要になります。
では、その候補となるエネルギー源は存在するのでしょうか?
『ミッキー7』では、主人公ミッキーが乗る宇宙船「ドラッカー号」が反物質エンジンによって推進されています。このエンジンは膨大なエネルギーを生み出し、宇宙船を光速の90%近くまで加速できるとされています。その結果、人類は太陽系を飛び出し、新たな居住可能惑星を目指して銀河へ旅立つのです。
もちろん、これは現時点ではSFの設定です。
しかし面白いことに、その原理となる反物質そのものは現実にも存在しています。
SF作家が完全な空想で考えたわけではないのです。
■ 反物質は現実にも存在する(ただし超少量)
現在でも、LHC(大型ハドロン衝突型加速器)という巨大な装置を使えば 反電子(陽電子)や反陽子を作ることができます。
ただし今の技術では、実験で作れる量は数個〜数百個の粒子、しかも数十秒〜数分だけ閉じ込められる程度と、ほんのわずかです。さらに、もし 1グラムの反物質を作るとしたら、数百兆円かかるとも言われています。とてつもなく高価な物質なのです。
■ なぜ反物質はすごいのか?
反物質は、普通の物質と電荷が逆になっている粒子でできています。
電子(ー) → 反電子(+)
陽子 (+)→ 反陽子(ー)
そして、反物質が普通の物質に触れると起きるのが 対消滅(ついしょうめつ)です。
これは、粒子同士がぶつかって 質量のすべてがエネルギーに変わる現象です。
有名なアインシュタインの式:E = mc²
がそのまま働く世界で、ほんの少量でも莫大なエネルギーが出ます。
理論上、反物質は 最もエネルギー密度の高い燃料のひとつなのです。
■ でも、反物質は「入れ物」に入れられない
ここで問題があります。
反物質は普通の物質に触れると消えてしまうため、金属製の容器には入れられません。
ではどうするか?
現実の研究では、反物質の粒子を真空中に浮かせて閉じ込める装置(量子トラップ)が使われます。
その代表が ペニングトラップです。これは、
強い磁場 → 横方向を閉じ込める 電場 → 縦方向を閉じ込める
という仕組みで、反物質を“触れさせないように”宙に浮かせて保存します。

■ 物語に登場する「磁気単極子バブル」
『ミッキー7』では、さらに進んだ技術として 「磁気単極子バブル」 が発明されます。
これは、反物質を小さなパッケージに安全に封じ込められる夢のような装置。
磁気単極子(モノポール)の理論は、実際に1931年に物理学者ポール・ディラックが理論的に存在を予言した物質です。通常、磁石をどれだけ細かく切っても、必ずN極とS極のペアになりますが、N極かS極のどちらか一方の性質のみを持つ物質なのです。現在に至るまで素粒子としては未発見ですが、宇宙の誕生や大統一理論を解く鍵として重要視されています。
物語では、これによって反物質ロケットや反物質爆弾といった強力な技術が実用化されていきます。
しかし、その結果人類は反物質爆弾をめぐる戦争を起こし、地球に住めなくなってしまいます。
新たな居住地を求め、銀河へ旅立つ――という流れが物語の背景となっています。
■ 反物質は「究極の燃料」になりうるのか?
反物質は理論的に見れば、これ以上ないほど高性能な燃料です。
もし安全で安価に大量生産し、長期間保存できるようになったら・・
宇宙探査、エネルギー産業、さらには軍事分野まで、社会のあらゆる仕組みが変わる可能性があります。反物質は「未来のエネルギー源」として、SFでも現実の研究でも、これからますます注目されていく分野なのです。
参考リンク
量子トラップ-電子の捕獲方法(リンク)
LHC(大型ハドロン衝突装置)(リンク)
私たちが存在するのはニュートリノのおかげ?(リンク)
購入リンク


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